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ジャイロセンサーを使う

小型の電動ヘリが出始めの頃、ジャイロセンサーは高級なイメージだったように思います。 ジャイロといえば、地球ゴマが一定の姿勢を保つ動きが連想されますね。(古い?)

現在は、携帯機器の普及で簡単に電子工作にも手軽に使えるパーツになりました。

ジャイロセンサーの利用は初めてでしたが、漠然と「角度の偏移が出力される」などと考えていたのですが、実際は「角速度」という馴染みのない物でした。

今回は、秋月電子のL3GD20 3軸ジャイロセンサーモジュールを使用しました。

ジャイロセンサー L3GD20

ジャイロセンサー L3GD20

角速度と角度の関係について、詳しく解説している動画があります。 大変参考になったのですが難しい…。

角速度センサーを使って角度を求める方法

私なりの理解は、角速度と角度の関係は、速度と距離の関係に似ているということでした。

gyro_g

一定時間単位で角速度を計測し、前回計測値からの移動量を積算していく。 上のグラフの青色の面積を求めれば近似値が得られるということですね。 簡略積分法です。

論理はともかくまずは実験ということでとりかかったのですが、これがなかなか大変でかなり時間を費やしました。

静止時の変動や振動などによるドリフト、値はなかなか安定しないのですが、先人たちの知恵と実験につぐ実験により、なんとか使えるコードが書けました。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <time.h>
#include <unistd.h>
#include <wiringPi.h>
#include <wiringPiI2C.h>

#define MOTOR1 22			// GPIO22
#define MOTOR2 23			// GPIO23
#define MOTOR3 24			// GPIO24
#define MOTOR4 25			// GPIO25
#define LEFT_STR "l"		// 左旋回指示用文字
#define RIGHT_STR "r"		// 右旋回指示用文字

int main(int argc, char **argv)
{
	int i2c_fd;				// I2Cデバイスファイル
	int i2cAddress = 0x6a;	// L3GD20のI2Cアドレス
	int i,regH,regL,out_z,adj,backup,kai;
	float data,deg;

	// I2Cデバイスファイルをオープン
	i2c_fd = wiringPiI2CSetup(i2cAddress);

	// L3GD20 イニシャライズ
	if((wiringPiI2CWriteReg8(i2c_fd,0x20,0x0f))<0){
		printf("write error register 0x20");
	}
	printf("write register:0x20 = 0x0f\n");

	// 旋回指定値の取得
	kai = atoi(argv[2]);

	// WiringPi イニシャライズ
	if(wiringPiSetupGpio() == -1) return;

	// モーター停止
	digitalWrite(MOTOR1, 0);
	digitalWrite(MOTOR2, 0);
	digitalWrite(MOTOR3, 0);
	digitalWrite(MOTOR4, 0);

	// 静止時の補正値を計測
	for(i=0; i<20; i++){
		// デバイスからデータ取得
		regL = wiringPiI2CReadReg8(i2c_fd,0x2c);	// Lレジスタ読み出し
		regH = wiringPiI2CReadReg8(i2c_fd,0x2d);	// Hレジスタ読み出し
		out_z = (regH<<24|regL<<16)>>16;			// H,L合成
		adj = adj + out_z;
		usleep(10000);
	}
	adj = adj / 20;									// 平均化し補正値とする

	//左旋回動作
	if ( strcmp( argv[1], LEFT_STR ) == 0 ){
		digitalWrite(MOTOR1, 1);
		digitalWrite(MOTOR4, 1);
	}
	//右旋回動作
	if ( strcmp( argv[1], RIGHT_STR ) == 0 ){
		digitalWrite(MOTOR2, 1);
		digitalWrite(MOTOR3, 1);
	}

	// ジャイロデータを取得
	for(i=0; i<10000; i++){
		// デバイスからデータ取得
		regL = wiringPiI2CReadReg8(i2c_fd,0x2c);
		regH = wiringPiI2CReadReg8(i2c_fd,0x2d);
		out_z = (regH<<24|regL<<16)>>16;

		// データを補正し角度算出(台形法)
		data += ((out_z - adj) + backup) / 2;
		backup = out_z - adj;
		deg = abs(data / 9700);					// 9700は角度変換用係数
		//printf("  測定値 : %5.2f  角度 : %5.2f\n",data,deg);

		//角度をチェックし、指定値に達していたら停止
		if (deg > kai ){
			//ブレーキ
			digitalWrite(MOTOR1, 1);
			digitalWrite(MOTOR4, 1);
			digitalWrite(MOTOR2, 1);
			digitalWrite(MOTOR3, 1);
			usleep(100000);
			//停止
			digitalWrite(MOTOR1, 0);
			digitalWrite(MOTOR4, 0);
			digitalWrite(MOTOR2, 0);
			digitalWrite(MOTOR3, 0);
			return;
		}

		usleep(10000);
	}

	return;
}

上記コードをコンパイル

gcc gyro_turn.c -o gyro_turn -I/usr/local/include -L/usr/local/lib -lwiringPi

実行は

sudo ./gyro_turn r 90

と、することにより右に90度旋回します。(実際には停止距離を考慮し角度を決定)

若干、動作にばらつきもありますが、ほぼ納得できる結果が得られました。